「読んで、すぐ判断できる連絡」が選ばれる
初めての案件で、こんな経験をするかもしれません。
「確認のメッセージを送ったのに、2日経っても返事がない」
「既読はついてるのに、無視されてる…?」
「私、何か失礼なこと言っちゃったのかな…」
先にお伝えしますね。ほとんどの場合、あなたは嫌われていません。
あなたのクライアントの多くは、経営者や事業主です。そして経営者は、想像している以上に忙しいんです。「返事がない」のは、あなたのメッセージが後回しにされているのではなく、「今すぐ答えられない質問」が、答えられる時間を待っている状態。それだけのことが多いんです。
この教材では、経営者という人たちの1日と頭の中を知って、「読んですぐ返事ができる連絡」の作り方を学びます。ここができるデザイナーは、実はデザインスキルと同じくらい大事にされます。焦らず、ひとつずつ見ていきましょう。
(依頼が来てからの対応の流れは、教材「16. ココナラクライアントワーク」で学びましたね。この教材はその「やり取りの質」を一段上げるためのものです)
たとえば、あなたにバナーを依頼してくれた、小さなお店のオーナーさん。1日の中でこんなことをしています。
経営者の1日は「意思決定の連続」です。朝から晩まで「どうする?」を判断し続けていて、メッセージの返信は、そのすき間で行われています。
だからこそ、覚えておいてほしいのはこの1行です。
逆に、「読んだけど、考えないと答えられない連絡」は、後回しになります。悪気はなくても、「あとでじっくり考えよう」の「あとで」が、なかなか来ないんです。
これは経営者が冷たいからではありません。時間が本当にないだけ。そう理解できると、「返事が来ない=嫌われた」という不安から自由になれますし、「じゃあ、すぐ判断できる形で送ろう」という工夫が生まれます。ここからは、その工夫を具体的に見ていきます。
なお、相手が経営者でも、特別な言葉づかいやビジネス知識は必要ありません。この教材の型どおりで十分です。
同じ内容でも、送り方ひとつで「すぐ返事が来る連絡」にも「後回しにされる連絡」にもなります。代表的な4パターンを、NGとOKの対比で見てみましょう。
これを受け取った経営者は、頭の中でゼロからデザインを考えなければいけません。デザインの専門家ではないので、言葉にするのも大変。結果、「あとで考えよう」→ 返事が止まります。
これなら、移動中のスマホでも10秒で「Aで!」と返せます。
これだと、経営者は「全部を、自分の判断で、隅々までチェックしなければ」と感じます。重い作業に見えるので、時間があるときまで後回しになります。
「どこを見ればいいか」と「どう返事すればいいか」が決まっているので、確認が1分で終わります。こうした工夫が、確認コスト(相手が確認に使う時間と頭のエネルギーのこと)を下げることにつながります。
1つずつ聞くと、そのたびに相手の時間を奪い、制作も止まります。
聞くことを先に全部そろえてから、1通にまとめる。これだけで往復がぐっと減ります(この例なら3往復→1往復)。
経営者は最後まで読まないと「で、何を聞かれてるの?」がわかりません。長文は開いた瞬間に「あとで読もう」となりがちです。最初はみんなこう書きます。型を知れば直せるので大丈夫です。
最初の1行で「何を判断すればいいか」がわかる。理由は1〜2行で簡潔に。これが経営者に好かれる文章の形です。
ここからは、実際の場面別に「ビフォー→アフター」の例文をお渡しします。そのままコピペして、案件に合わせて◯◯を書き換えて使ってくださいね。
参考画像を先に用意する手間はかかりますが、その一手間で、相手の返信は10秒で済み、あなたも方向性を外さずに済みます。お互いにとって近道なんです。
参考デザインは、Pinterest(デザイン事例を集められる無料サイト)や自分の過去作から探せます。探し方に迷ったらデザインコーチに聞いてくださいね。
(ヒアリング全体の質問リストは「19. ヒアリングシート」教材で詳しく学べます)
「プロのあなたはどう思うの?」——実は経営者はこれを聞きたがっています。自分の推薦と理由を添えるだけで、相手の判断時間はぐっと短くなり、「この人はプロだな」という信頼にもつながります。理由は「ターゲットに合うか」の一点で考えればOK。難しく考えなくて大丈夫です。
「どうしましょう?」ではなく「こう考えていますが、いいですか?」。相手はYESかNOで答えるだけなので、返信のハードルが一気に下がります。もしNOでも、「違う」と言ってもらえた時点で認識合わせができるので、無駄になりません。
ポイントは最後の1行です。「わからなければそのままでOK」の逃げ道を作っておくと、相手は「調べなきゃ」と手が止まらずに済みます。ここでも「相手が悩みそうなポイント」を先回りしています。
メッセージを送る前に、この5つをサッと確認してみてください。慣れるまでは、スマホのメモなどに貼っておくのもおすすめです。
全部に◯がつかなくても大丈夫。まずは(1)と(2)だけでも意識すると、返信の速さが変わってくるはずです。最初の案件で全部できる人はいません。1つできるごとに確実に成長しています。
そして、送る前に「この文面で伝わるかな?」と不安になったら、いつでもデザインコーチに見せてください。メッセージの添削も、デザインの添削と同じくらい歓迎です。
大丈夫です。先回りは「勝手に決めて進めること」ではなく、「自分の案を持って確認すること」です。
「◯◯で進めようと考えていますが、よろしいですか?」と聞いて、もし「違う」と言われても、それは失敗ではありません。その時点で認識のズレが直せたのですから、むしろ成功です。何も案を出さずに「どうしましょう?」と聞くより、ずっと前に進んでいます。
推薦が採用されなくても、評価は下がりません。経営者が見ているのは「当たったかどうか」ではなく、「理由を持って考えてくれたかどうか」です。
「おすすめはA案です。理由は◯◯」と伝えてB案が選ばれても、「ちゃんと考えてくれる人だ」という印象は残ります。理由さえ添えていれば、外すことを怖がらなくて大丈夫です。
逆です。選択肢を用意するのは、相手の時間を大切にする行為なので、むしろ丁寧な対応として受け取られます。「決めつけている」と感じさせないコツは、最後に「他のイメージがあれば、もちろんお知らせください」と一言添えること。これで押しつけにはなりません。
最初は時間がかかって当然です。でも、この教材の例文はコピペで使えますし、2〜3案件こなすうちに「いつものパターン」ができて、準備はどんどん速くなります(これは多くの先輩デザイナーが通ってきた道です。目安として捉えてくださいね)。
それに、先回りの一手間は、あとの往復回数を減らしてくれます。トータルで見ると、実はあなた自身の時間の節約にもなっているんです。
最後に、この教材で一番お伝えしたいことです。
デザインの上手さが同じ2人のデザイナーがいたら、経営者が「もう一度頼みたい」と思うのは、やり取りがラクな人です。確認コストの低いデザイナーであることは、スキルと同じくらい、ときにはそれ以上に、リピートや紹介につながる強みになります。
そしてこの力は、センスではなく「相手の時間を想像する習慣」でできています。今日の1通から、少しずつで大丈夫。あなたのペースで身につけていきましょう。