fv
既存ユーザのログイン
   
CLIENT PSYCHOLOGY

経営者心理

「読んで、すぐ判断できる連絡」が選ばれる

この教材で学べること
  • クライアント(多くは経営者・事業主)の「時間感覚」と立場がわかる
  • 「返信が遅い」「既読なのに返事がない」の本当の理由がわかり、不安にならなくなる
  • 嫌われる連絡と好かれる連絡の違いが、ビフォー→アフターの例文でわかる
  • 送信前に使える「先回りチェックリスト」が手に入る

はじめに 「既読なのに、返事がない…」

初めての案件で、こんな経験をするかもしれません。

「確認のメッセージを送ったのに、2日経っても返事がない」
「既読はついてるのに、無視されてる…?」
「私、何か失礼なこと言っちゃったのかな…」

先にお伝えしますね。ほとんどの場合、あなたは嫌われていません。

あなたのクライアントの多くは、経営者や事業主です。そして経営者は、想像している以上に忙しいんです。「返事がない」のは、あなたのメッセージが後回しにされているのではなく、「今すぐ答えられない質問」が、答えられる時間を待っている状態。それだけのことが多いんです。

この教材では、経営者という人たちの1日と頭の中を知って、「読んですぐ返事ができる連絡」の作り方を学びます。ここができるデザイナーは、実はデザインスキルと同じくらい大事にされます。焦らず、ひとつずつ見ていきましょう。

(依頼が来てからの対応の流れは、教材「16. ココナラクライアントワーク」で学びましたね。この教材はその「やり取りの質」を一段上げるためのものです)

経営者の1日を想像してみよう

たとえば、あなたにバナーを依頼してくれた、小さなお店のオーナーさん。1日の中でこんなことをしています。

  • お店の営業・接客
  • スタッフへの指示、シフトの調整
  • 仕入れ・お金の管理・支払い
  • 新しいメニューやサービスを考える
  • 取引先とのやり取り、営業の電話への対応
  • そして、あなたへの返信

経営者の1日は「意思決定の連続」です。朝から晩まで「どうする?」を判断し続けていて、メッセージの返信は、そのすき間で行われています。

だからこそ、覚えておいてほしいのはこの1行です。

▸ 経営者に喜ばれるのは、「読んで、すぐ判断できる連絡」

逆に、「読んだけど、考えないと答えられない連絡」は、後回しになります。悪気はなくても、「あとでじっくり考えよう」の「あとで」が、なかなか来ないんです。

これは経営者が冷たいからではありません。時間が本当にないだけ。そう理解できると、「返事が来ない=嫌われた」という不安から自由になれますし、「じゃあ、すぐ判断できる形で送ろう」という工夫が生まれます。ここからは、その工夫を具体的に見ていきます。

なお、相手が経営者でも、特別な言葉づかいやビジネス知識は必要ありません。この教材の型どおりで十分です。

嫌われる連絡・好かれる連絡

同じ内容でも、送り方ひとつで「すぐ返事が来る連絡」にも「後回しにされる連絡」にもなります。代表的な4パターンを、NGとOKの対比で見てみましょう。

パターン1: 質問のしかた

NG: 抽象的な質問

「どんなデザインがいいですか?」

これを受け取った経営者は、頭の中でゼロからデザインを考えなければいけません。デザインの専門家ではないので、言葉にするのも大変。結果、「あとで考えよう」→ 返事が止まります。

OK: 選択式の質問

「A案(やわらかく親しみやすい雰囲気)とB案(スッキリ高級感のある雰囲気)の2つの方向性をご用意しました。どちらがお店のイメージに近いでしょうか?」

これなら、移動中のスマホでも10秒で「Aで!」と返せます。

パターン2: 確認のお願い

NG: 丸投げの確認

「初稿(最初にお見せするデザイン案のこと)をお送りします。ご確認お願いします」

これだと、経営者は「全部を、自分の判断で、隅々までチェックしなければ」と感じます。重い作業に見えるので、時間があるときまで後回しになります。

OK: 見てほしい場所と、返事の形を指定する

「初稿をお送りします。特に、キャンペーンの日付と価格の部分に間違いがないかをご確認ください。デザインの雰囲気も含めて問題なければ、『OK』の一言で大丈夫です」

「どこを見ればいいか」と「どう返事すればいいか」が決まっているので、確認が1分で終わります。こうした工夫が、確認コスト(相手が確認に使う時間と頭のエネルギーのこと)を下げることにつながります。

パターン3: やり取りの往復数

NG: 何往復も必要なやり取り

「ロゴのデータはありますか?」→(返信を待つ)→「写真はどうしますか?」→(返信を待つ)→「サイズの指定は…」

1つずつ聞くと、そのたびに相手の時間を奪い、制作も止まります。

OK: 1通で完結する連絡

「制作に必要なものを3点、まとめてお伺いします。(1)ロゴデータの有無 (2)使いたいお写真の有無 (3)掲載サイズのご指定。お手すきの際に、この1通へのご返信でまとめてお知らせください」

聞くことを先に全部そろえてから、1通にまとめる。これだけで往復がぐっと減ります(この例なら3往復→1往復)。

パターン4: 文章の構成

NG: 長文で、要点(聞きたいこと)が最後

「お世話になっております。先日は打ち合わせのお時間をいただきありがとうございました。その後、いただいた素材をもとに制作を進めておりまして、レイアウトの検討を重ねる中でいくつか気づいた点があり…(長い経緯の説明)…つきましては、メインの写真を差し替えてもよろしいでしょうか?」

経営者は最後まで読まないと「で、何を聞かれてるの?」がわかりません。長文は開いた瞬間に「あとで読もう」となりがちです。最初はみんなこう書きます。型を知れば直せるので大丈夫です。

OK: 結論から書く

「1点ご確認です。メインの写真を、より明るい印象のこちら(添付)に差し替えてもよろしいでしょうか? 理由は、ターゲットの30代女性に親しみを感じてもらいやすいためです。問題なければ『OK』とだけご返信ください」

最初の1行で「何を判断すればいいか」がわかる。理由は1〜2行で簡潔に。これが経営者に好かれる文章の形です。

先回りのクライアントワーク実例集 ~ コピペで使える書き換え例 ~

ここからは、実際の場面別に「ビフォー→アフター」の例文をお渡しします。そのままコピペして、案件に合わせて◯◯を書き換えて使ってくださいね。

場面1: ヒアリング(制作前にご要望を聞き取ること)でイメージを聞くとき

ビフォー(相手に考えさせてしまう)

「どんな雰囲気のデザインをご希望ですか?」

アフター(参考を添えて、選んでもらう)

「デザインの方向性についてお伺いします。参考のデザインを3つお送りしますので、お店のイメージに一番近いものを教えてください。
(A) やわらかく親しみやすい雰囲気(添付1)
(B) スッキリと洗練された雰囲気(添付2)
(C) にぎやかで元気な雰囲気(添付3)
『Aに近い、でももう少し◯◯』のような形でも大丈夫です」

参考画像を先に用意する手間はかかりますが、その一手間で、相手の返信は10秒で済み、あなたも方向性を外さずに済みます。お互いにとって近道なんです。

参考デザインは、Pinterest(デザイン事例を集められる無料サイト)や自分の過去作から探せます。探し方に迷ったらデザインコーチに聞いてくださいね。

(ヒアリング全体の質問リストは「19. ヒアリングシート」教材で詳しく学べます)

場面2: 確認をお願いするとき

ビフォー(丸投げ)

「デザイン案をお送りします。ご確認お願いいたします」

アフター(見る場所と返事の形を指定)

「デザイン案をお送りします。ご確認いただきたいのは、特に次の2点です。
(1) 日付・価格・電話番号などの文字情報に間違いがないか
(2) 全体の雰囲気がイメージと合っているか
問題なければ『OK』の一言で大丈夫です。修正のご希望があれば、その箇所だけお知らせください」

場面3: デザイン案を提案するとき

ビフォー(判断を相手に委ねる)

「A案とB案を作りました。どちらがいいか教えてください」

アフター(プロとしての推薦を添える)

「A案とB案の2案をお作りしました。
私のおすすめはA案です。理由は、ターゲットの30代女性には、B案のシャープな印象よりA案のやわらかい配色のほうが手に取ってもらいやすいと考えるためです。
もちろんB案がお好みでしたら、そちらで仕上げます。どちらにいたしましょうか?」

「プロのあなたはどう思うの?」——実は経営者はこれを聞きたがっています。自分の推薦と理由を添えるだけで、相手の判断時間はぐっと短くなり、「この人はプロだな」という信頼にもつながります。理由は「ターゲットに合うか」の一点で考えればOK。難しく考えなくて大丈夫です。

場面4: 制作中に質問・相談をするとき

ビフォー(オープンな質問)

「文字の配置はどうしましょうか?」

アフター(自分の案を先に出して、YES/NOで答えられる形に)

「文字の配置について、一番伝えたい『◯◯』の文言を左上に大きく置く形で進めようと考えています。この方向でよろしいですか? 違うイメージでしたら、お知らせください」

「どうしましょう?」ではなく「こう考えていますが、いいですか?」。相手はYESかNOで答えるだけなので、返信のハードルが一気に下がります。もしNOでも、「違う」と言ってもらえた時点で認識合わせができるので、無駄になりません。

場面5: 素材やデータをお願いするとき

ビフォー(相手が迷う)

「ロゴのデータをお送りください」

アフター(相手が迷わないよう先回り)

「ロゴのデータをお送りいただけますでしょうか。
できれば『ai(Illustratorという制作ソフトのデータ形式)』か『png(背景が透明のもの)』の形式ですと、きれいに配置できます。
もし形式がわからない場合は、お手元にあるデータをそのままお送りいただければ、こちらで確認いたします」

ポイントは最後の1行です。「わからなければそのままでOK」の逃げ道を作っておくと、相手は「調べなきゃ」と手が止まらずに済みます。ここでも「相手が悩みそうなポイント」を先回りしています。

送信前の「先回り」チェックリスト

メッセージを送る前に、この5つをサッと確認してみてください。慣れるまでは、スマホのメモなどに貼っておくのもおすすめです。

送信前チェックリスト
  • (1) 結論(聞きたいこと・伝えたいこと)が最初の1〜2行にあるか?
  • (2) 相手はこの連絡に「10秒〜1分」で返事ができるか?(選択式・YES/NO形式になっているか)※迷ったら、送る前に自分のスマホで読み返して「自分ならすぐ返せるか」を試すのがおすすめです
  • (3) 質問は1通にまとまっているか?(小出しにしていないか)
  • (4) 相手が悩みそうなポイントに、参考資料・画像・自分の推薦を添えたか?
  • (5) 「問題なければOKの一言で大丈夫です」など、返事の形を示したか?

全部に◯がつかなくても大丈夫。まずは(1)と(2)だけでも意識すると、返信の速さが変わってくるはずです。最初の案件で全部できる人はいません。1つできるごとに確実に成長しています。

そして、送る前に「この文面で伝わるかな?」と不安になったら、いつでもデザインコーチに見せてください。メッセージの添削も、デザインの添削と同じくらい歓迎です。

よくある不安にお答えします

「先回りして、間違っていたらどうしよう…」

大丈夫です。先回りは「勝手に決めて進めること」ではなく、「自分の案を持って確認すること」です。

「◯◯で進めようと考えていますが、よろしいですか?」と聞いて、もし「違う」と言われても、それは失敗ではありません。その時点で認識のズレが直せたのですから、むしろ成功です。何も案を出さずに「どうしましょう?」と聞くより、ずっと前に進んでいます。

「おすすめを添えて、外したら恥ずかしい…」

推薦が採用されなくても、評価は下がりません。経営者が見ているのは「当たったかどうか」ではなく、「理由を持って考えてくれたかどうか」です。

「おすすめはA案です。理由は◯◯」と伝えてB案が選ばれても、「ちゃんと考えてくれる人だ」という印象は残ります。理由さえ添えていれば、外すことを怖がらなくて大丈夫です。

「選択肢を絞ったら、失礼にならない?」

逆です。選択肢を用意するのは、相手の時間を大切にする行為なので、むしろ丁寧な対応として受け取られます。「決めつけている」と感じさせないコツは、最後に「他のイメージがあれば、もちろんお知らせください」と一言添えること。これで押しつけにはなりません。

「毎回ここまで準備するの、大変そう…」

最初は時間がかかって当然です。でも、この教材の例文はコピペで使えますし、2〜3案件こなすうちに「いつものパターン」ができて、準備はどんどん速くなります(これは多くの先輩デザイナーが通ってきた道です。目安として捉えてくださいね)。

それに、先回りの一手間は、あとの往復回数を減らしてくれます。トータルで見ると、実はあなた自身の時間の節約にもなっているんです。

まとめ 「確認コストの低いデザイナー」は、もう一度頼まれる

この教材のポイント
  • 「返事が来ない」のは嫌われたからではなく、経営者は時間が本当にないから
  • 経営者に喜ばれるのは「読んで、すぐ判断できる連絡」
  • 抽象的な質問より選択式。丸投げの確認より「見る場所+返事の形」の指定。小出しより1通完結。経緯から書くより結論から
  • 参考資料・自分の推薦・逃げ道の一言を添えて、相手が悩みそうなポイントを先回りする
  • 先回りは「勝手に決めること」ではなく「案を持って確認すること」。外しても失敗ではない

最後に、この教材で一番お伝えしたいことです。

デザインの上手さが同じ2人のデザイナーがいたら、経営者が「もう一度頼みたい」と思うのは、やり取りがラクな人です。確認コストの低いデザイナーであることは、スキルと同じくらい、ときにはそれ以上に、リピートや紹介につながる強みになります。

そしてこの力は、センスではなく「相手の時間を想像する習慣」でできています。今日の1通から、少しずつで大丈夫。あなたのペースで身につけていきましょう。

前の画面に戻る